[gacco講座]「IoT入門 ウェブ講習」を受講

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その他

「gacco」というオンライン学習サービスがあります。

「gacco」は、(株)ドコモgacco が運営しているオンライン講座プラットフォームで、さまざまなジャンルの大学レベルの講義を、誰でもオンラインで、しかも無料で受講できるサービスです。

ここで提供されている講座の中に、総務省が開講している「IoT入門 ウェブ講習」というものがありましたので、今回これを受講しました。

大部分は、既にこれまでに勉強してきた内容でした(当社ホームページでも「IoTってなに?」で詳しく説明しています)が、中にはあまりきちんと理解できていなかった事項もありましたので、ここでは、本講座のサマリをまとめておきます。

IoTの基礎知識

IoTとは

IoTとは「現実世界の様々なモノがインターネット空間とつながる」こと。

現実世界の各種データ(商店の売り上げ、在庫、工場の生産進捗、農地の気温湿度、自動車の位置、家の消費電力など)を、インターネット空間(クラウド、データベース、サーバ)に送信して蓄積する。
インターネット空間に蓄積されたデータを可視化、分析することで、現実世界で活用する。

インターネットの「距離を気にしなくて良い」という特長を活かすことで、今までは実現できなかった効果が得られ、新たな価値の創出につながる。

IoT利活用による効果

  • 第1段階:従来は人手や肌感覚で集めていたデータ収集を自動化
  • 第2段階:従来は集めていなかった新たなデータを収集
  • 第3段階:データをより深く分析(将来予測)し、ノウハウで新規事業を創出

IoTが求められる背景

  • 人材不足への対応(業務の自動化、省力化)、熟練社員の技術伝承
  • 顧客要求への素早い対応
  • 売り切り型から販売後もサービスを提供するビジネスへの転換
  • 装置故障の予測、未然対応

IoTが実現できる背景

  • センサの低価格化、小型化
  • クラウドサービス活用で、自社での設置やメンテが不要に
  • データ処理の高速化、ソフトウェアのオープン化
  • スマホなどのデバイスが普及

導入事例

  • 農業:温度、湿度、CO2濃度、生育データなどを収集。水や肥料を適切なタイミングで適切な量だけ与える。
  • 製造業:機械の温度や振動を収集。故障前に部品交換や修理をすることが可能に。熟練工の作業方法を収集。
  • ヘルスケア:ウェアラブルデバイス(腕などに装着)で体温、心拍数、歩く速度などを収集。生活改善に関するアドバイスをタブレットに表示。社員の健康状態を把握。
  • 商業:カートにつけたビーコンで顧客の位置情報を収集。売れない原因を分析し、タイムセールや配置の変更に活用。
  • 介護:介護者の負荷軽減。部屋の出入りやおむつ取り替えタイミング(匂いセンサ)を検知。

IoTに関する技術、関連法制度について

IoTを構成する機器

  • IoTデバイス:現実世界にあるセンサやスマホ
  • IoTゲートウェイ:現実世界と仮想世界をつなぐ(複数のデバイスのデータを集約、前処理により通信量を削減する機能を持つものもある)
  • クラウド・データベース:データを蓄積、分析

主なセンサの種類

  • 温度・湿度
  • 画像(カメラ)
  • モノの有無、形状、位置
  • 加速度、回転量
  • ひずみ
  • タグ(個体識別)

通信手段

  • 有線通信:安定性は高いが、手間、スペースがかかる。
  • 無線通信:気象条件、遮蔽物により不安定になる。

現在のIoTでは主に無線通信が活用されている。

電波の有効利用について

同じ周波数帯を、複数の機器が同時に使用すると、干渉して通信が不安定になる(例えば、Wi-Fiで2.4GHz帯を利用している場合、近くで電子レンジを使うと、電子レンジから漏洩する電波が妨害してしまうことがある)。
電波はルールを守って有効活用する必要がある。

3kHz – 30kHz超長波(VLF)
30kHz – 300kHz長波(LF)標準電波
300kHz – 3MHz中波(MF)AMラジオ
3MHz – 30MHz短波(HF)短波放送
30MHz – 300MHz超短波(VHF)FMラジオ、コードレス電話
300MHz – 3GHz極超短波(UHF)携帯電話、PHS、TV
3GHz – 30GHzマイクロ波(SHF)衛星通信、レーダー
30GHz – 300GHzミリ波(EHF)衛星通信、レーダー
300GHz – 3THzサブミリ波
  • 周波数が高いほど光に近い。直進性が強くなり、建物などに遮られやすくなる。
  • 周波数が低いほど、建物などの陰にも回り込みやすくなる。
  • 周波数が高いほど、伝達できる情報量が多くなる。

IoTではSHF帯(Wi-Fiなど)を使うことが多いが、最近はUHF帯(920MHzなど)を使うケースもある。

電波法

電波利用には、原則として免許または登録が必要。
ただし、「条件」を満たした場合には免許や登録は不要。
条件は、省電力の特定の用途に使用する無線局であること。具体的には「技適マーク」が付されている無線機器であること。

無線通信規格

  • 長距離、高速:700MHz帯〜2.5GHz帯(3G, LTE)
  • 近距離、高速:2.4GHz, 5GHz(Wi-Fi, Bluetooth)
  • 近距離、低電力:2.4GHz, 920MHz(ZigBee, Wi-SUN)
  • 長距離、低電力:700MHz帯〜2.5GHz帯(LPWA(SigFox, LoRa))

データ

  • 蓄積:クラウドサービスが主流に
  • 分析:可視化、分類・予測、相関分析、人工知能の活用
  • 活用:分析結果の通知、事業戦略への活用、自動制御

情報セキュリティ

情報セキュリティとは、情報の機密性(漏れない)、完全性(改竄されない)、可用性(使いたいときに使える)を維持すること。
守るべき情報がなにかを認識し、それらに対する脆弱性を取り除くことが重要。

IoT特有の性質

  • 影響範囲、影響度合いが大きい。
  • ライフサイクルが長い。
  • 監視が行き届きにくい。

対策の指針

  • IoTの性質を考慮した基本方針
  • IoTのリスクを認識
  • 守るべきものを守る設計
  • ネットワーク上での対策(適切なネットワークを選択、初期設定(初期パスワードなど)に留意)
  • 安全安心な状態を維持し、情報発信・共有を行う(ソフトウェアアップデートをきちんと行う)

IoTの標準化動向

標準技術を使うことで、汎用性、安価、他社製品と連携などが可能になる。
主な標準化団体には、ITU(国際電気通信連合), ISO(国際標準化機構), IEC(国際電気標準会議), IEEE(米国電気通信学会)などがある。

IoTの活用

IoT導入の進め方

  • ビジネス課題の設定
  • 解決策のアイデア出し
  • プロトタイプ作成
  • 有効性の実証、評価

一般的なシステム導入と同じ。ただし、いきなりうまくいくとは限らないので、ステップを踏んで進める必要がある。
IoTは、ビジネス課題を解決する手段のひとつと捉える。

ビジネス課題の設定

  • 自社の目指す姿、あるべき姿を検討する。
  • それに対する現状を把握する。
  • 両者のギャップを洗い出す。
  • 洗い出した問題からIoTで解決したい課題を設定する。

解決策のアイデア出し

  • 現在人手で(意識的に)収集、カンや経験に基づき(無意識的に)収集しているデータは何か?
  • 新たに収集できそうなデータは何か?
  • それらのデータをどのように収集するか(どんなセンサを使うか)?
  • 収集したデータを、どのような方法で送信するか?
  • データをどのように分析し、どのように活用するか?(まずは可視化、グラフ化)
  • 分析・活用により、どのような効果が期待できるか?それが課題の解決につながるか?

アイデア出しした解決策について、優先順位付けを実施する。
効果が大きく実現可能性が高いものについて、プロトタイプを作成する。

データの扱いに関する留意点

データ活用に関わる利害関係を調整する必要がある(データは誰のものか。センサを設置した人?、メーカー?、クラウド事業者?)。

個人情報の保護に留意が必要。
個人情報とは「生存する特定の個人を識別できる情報」を指す。たまたま通りかかった人が写真に写った場合など、画像や映像は特に注意が必要。

運用後の対応

運用後に起こりうるトラブルをあらかじめ想定しておく。

  • 屋外設置などによる故障:防水処理
  • 電池切れ:電池交換の容易化、低電力化
  • センサ感度低下・経年劣化:定期点検
  • 自然災害や盗難による紛失、野生動物により破壊:固定、高所設置
  • 故障によるデータ消失:バックアップ
  • ウィルス感染、不正アクセス:ソフトウェアアップデート