[gacco講座]「スマートに学んで活かそうスマート農業オンライン」を受講

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「gacco」というオンライン学習サービスがあります。

「gacco」は、(株)ドコモgacco が運営しているオンライン講座プラットフォームで、さまざまなジャンルの大学レベルの講義を、誰でもオンラインで、しかも無料で受講できるサービスです。

ここで提供されている講座の中に、農林水産省が開講している「スマートに学んで活かそうスマート農業オンライン」というものがありました。
本講座は本来、農業従事者向けのもののようですが、農業分野でのIoT活用という点で有益な情報もあるのではないかと考え、本講座を受講しました。

ここでは、本講座のサマリをまとめておきます。

背景

農業は、人間が生きていくために必要な食料や資材をつくる産業であることはもちろん、国土保全や生物多様性の維持など、さまざまな面で非常に大切な産業であることは言うまでもありません。

しかし、現状の農業にはさまざまな課題があります。

  • 地球温暖化:この100年で、世界の平均気温が0.74℃上昇、日本では1.24℃上昇しています。気候変動により、栽培適地が移動する可能性もあります。
  • 人口増加:2000年に60.6億人だった世界の人口が、2050年には93.2億人と1.5倍になることが予測されています。これに伴い食料需要が1.55倍になり、食糧危機が危惧されています。
  • 環境問題:食料需要の増加に伴い、水の消費量が増加し、水や養液の管理が大きな課題となります。

加えて日本国内では、以下のような課題もあります。

  • 農業就業人口の減少:1995年の414万人が、2015年には210万人と、ほぼ半減しています。
  • 高齢化:2015年時点で、農業就業者の77%が60歳以上、40歳未満は7%しかおらず、技術の伝承が難しくなっています。
  • 経営面積の増大:経営面積が5ha以上の割合は、1995年の34.2%から、2015年には57.9%に増加しており、これに伴いきめ細かい管理が難しくなっています。
  • 耕作放棄地の増加:耕作放棄地は、1975年の13.1万haから1995年には24.4%、2015年には42.3万haと増加しており、全農地の1割を占めるまでになっています。
  • 国内需要の低下:人口減少により国内需要が低下し、農産品の輸出が重要になってきますが、そのためには国際的な認証取得が必要です。

これらのさまざまな課題に対する解決策として、スマート農業が有効と期待されており、さまざまな取り組みが始まっています。

スマート農業とは

スマート農業とは、ロボット技術やICT技術を活用し、農作業の省力化や生産物の高品質化を可能にするものです(先端技術 × 農業技術)。

主なスマート農業のツールとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 体の代わり:ロボットトラクター、アシストスーツ、水管理システム
  • 目の代わり:ドローン、人工衛星、カメラ、センサ
  • 頭脳の代わり:ビッグデータ、AI
  • 手先・五感の代わり:施肥マップデータ連動農機

これらにより、以下のような効果が期待できます。

  • データの蓄積・活用により、生産効率を向上させ、収量や品質を安定させる。また、環境負荷軽減と生産効率向上を両立させる。
  • 作業負荷の軽減により、労働者を増加させる。
  • ベテランの技術のデータベース化により、新規就農者でも再現可能にし、新規就農者を増加させる。
  • 省力化により、少ない人数でたくさんの農地を管理できるようにし、大規模農地へのきめ細かい作業を可能にする。
  • 生産情報のデータ化により、安心と信頼を提供できる。

スマート農業の実例

スマート農業はつまるところ、圃場を製造業の工場と同じように考えて、生産性向上や品質向上を目指すもののようです。
そのように考えると、装置導入などにより自動化、省力化ができるような箇所は多岐にわたっており、実際に、非常に複雑な仕組みを導入して、大きな効果をあげている事例もたくさんあります。

そのような中、比較的シンプルで分かりやすい事例をピックアップしてみました。

  • 直線キープ田植え機:まっすぐに田植えすることは初心者には困難ですが、直線キープ田植え機を使えば、初心者でもまっすぐに田植えすることができます。
  • アシストスーツ:アシストスーツを使えば、重たい作物の収穫などを、女性などでも楽に行うことができます。
  • リモコン草刈り機:草刈りは非常に負荷の高い作業ですが、リモコン草刈り機を使うことで、きつい作業、危険な作業から解放されます。
  • 農薬散布ドローン:ドローン活用により、負荷の高い農薬散布作業が劇的に軽減されます。またセンシング情報も活用することで、場所ごとに適切な量を施肥すること(可変施肥)も可能になります。
  • 水管理システム:たくさんの圃場を管理している場合、圃場の見回りが大変な作業になりますが、水管理システムを使うことで、現場に行かなくても水位などが確認できます。
  • 環境制御:ハウス内の環境制御を自動化できます。照明、暖房、換気扇、CO2施用などをスマホなどで遠隔地から操作したり、自動で動作させることもできます。

参考情報

植生指数

植物は成長が進むと生育量が大きくなり、葉色が濃くなります。そうすると赤の光を吸収するようになり、近赤外の反射率が高くなります。
近赤外反射の大小を数値化したものがNDVI値で、NDVI値が高いほど葉色が濃い、つまり生育量が大きいことを示します。

NDVI値から、生育状況(葉の中の窒素含量)、食味(米の中のタンパク含量)が分かります。
このデータを使うと、圃場間の比較や、過去データとの比較が容易になります。

熱分布(熱カメラ)

水稲は、ストレスを感じると発熱します。
熱分布を測定することで、水稲のストレスを検出することができ、紋枯れ病を発見することができます。

農業分野で収集するデータ

農業分野で収集するデータには、温度、湿度、CO2濃度、日射量、天気、降雨量、風向、風速、土壌温度、土壌水分量、EC(土壌伝導度)、pH、給液量、廃液量、画像、動画、植生状況、NDVI値、機器の稼働状況/ログ、植生情報(葉面積、草高、クラウン径)、経営情報(収量、糖度、売上、原価)などがあります。

なお、データ収集は感ではなく、根拠のある数値(長さ:mm、照度:ルクス、重さ:g、気温:℃)として把握する必要があります。

感想

事例紹介では、いくつもの非常に先進的な取り組みが紹介されていましたが、いずれも「支援機関」、「メーカー」、「大規模農家」の3者のチームによる取り組みでした。
導入費用も非常に高額とのことで、やはりさまざまな支援などがなければ、なかなか活用は難しそうです。

一方、農業高校の事例では、廃材を使った作業支援装置の作成や、高校教師によるIoTシステムの自作など、なかなか興味深いものもありました。
このような「ちょっと便利になる」ような位置付けのツールであれば、小規模農家でも導入できる可能性があるかもしれません。

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さとやまノート