以前、いくつかの環境情報を採取するためのIoTデバイスを畑に設置したのですが、このデバイスが完全に停止しました。
設置したのは2021年10月で、停止したのは2023年9月です。ちょうど2年間にわたり稼働し続けたことになります。
今回の停止にあたり、2年間の稼働状況をまとめておきたいと思います。
設置していたIoTデバイスは こちら です。
デバイス本体は、「M5Stamp Pico」「小型ソーラーパネル」「単三型Ni-MH電池4本」を組み合わせたものです。
センサは、M5Stack社の「ENV IIユニット」、防水型の温度センサ「DS18B20」を2台、および「静電容量型土壌水分センサ」の計4つを使っています。「ENV IIユニット」は空中にぶら下げて気温と湿度を測定します。「DS18B20」は1台を空中、もう1台は土中に埋め、気温と土中温度を測定しています。「静電容量型土壌水分センサ」も土中に埋め、土中水分量を測定します。
その他にも細かな部品として、電池ボックス、ダイオード、抵抗を使っており、各パーツはブレッドボードで接続しています。
M5Stamp Pico、ブレッドボード、電池および電池ボックスは防水ボックスに収納し、そこからケーブルグランドを使って引き出した配線でソーラーパネルや各センサをつないでいます。つまり、M5Stamp Picoなどは一応防水対策がされていますが、ソーラーパネルや各センサは屋外に剥き出しの状態になっています。
停止時のIoTデバイスはこのような状態になっていました。
長い間、風雨にさらされてきたため、ソーラーパネルは白色に変色しています。ただ、この状態でも、一応このデバイスを動かす程度の電力は発電できていたようです。
今回は、電池を交換したり一部の周辺パーツを交換したりしても、一旦は動作するものの、少し時間が経つと動作しなくなること、動作している間は正常に処理が行われることなどから、M5Stamp Pico本体もしくは電池ボックスからM5Stamp Picoまでの電源供給ラインのどこかが壊れてしまったと想定されます。
2年間の屋外設置でマイコンデバイス本体が壊れるというのは、まあまあ妥当な結果ではないかと考えています。
センサについては、まず、土中に埋めた「DS18B20」については、設置してからわずか2ヶ月後の2021年12月に停止してしまいました。防水型のセンサといえども、今回のような使い方で長期間の運用はできないようです。同じようなことをする場合は、より本格的な防水処理などが必要なようです。
同じく土中に埋めた「静電容量型土壌水分センサ」については、設置してから1年2ヶ月後の2022年12月に停止しました。こちらについては、持ち帰って確認したところ、デバイス本体とセンサの接続部分に使っていたコネクタが、腐食して折れてしまっていました。ビニールテープをしっかり巻いて、空中に置いていたのですが、この程度の防水処理ではダメだったようです。
また、センサ本体となる基板部分については、防水のために基板表面にコーティングがされているのですが、それが剥がれて中の金属部分が腐食していました。コネクタの防水処理に関わらず、こちらのセンサも、今回のような使い方での長期間の運用はできなさそうです。
一方、空中に設置していた「ENV IIユニット」、「DS18B20」については、いずれも最後まで問題なく動作していました。空気中での使用であれば、剥き出しの状態であってもマイコンデバイスが壊れるぐらいまでの期間は大丈夫なようです(ただし「ENV IIユニット」については、雨や日光が直接当たらないようにカバーをつけていました)。
このような簡素な構成のデバイスで、屋外で2年間も連続稼働できるのであれば、一般的な用途であれば十分だと思います。
ただし、一部のセンサについては短期間で使用不可となったことから、概ね2年程度は稼働することを目安として、追加の防水処理などが必要なようです。
なお、私がM5Stack、M5StickCの使い方を習得するのにあたっては、以下の書籍を参考にさせていただきました。
ごく基本的なところから、かなり複雑なスケッチや、ネットワーク接続など、比較的高度なものまで、つまづかずに読み進めていけるような構成になっており、大変わかりやすい本です。