知り合いの農家の方が、ビニールハウスでイチゴ栽培をしておられるのですが、そのハウスに、温度を観測するためのIoTデバイスを設置しています。
普通、ビニールハウスでイチゴを栽培する際には、暖房を使ってハウス内を暖かくするのですが、その知り合いの方は、化石燃料をできるだけ使わずに栽培したいと試行錯誤しておられ、その一環として、IoTを使ってハウス内の温度を観測・記録しています。
実際に設置しているIoTデバイスは「M5Stamp-Pico」「ENV IIIユニット」「単三型Ni-MH電池4本」を組み合わせたものです(製作した時の記事は こちら)。
このIoTデバイスを4セット用意して、ハウス内のいろいろな場所に設置し、別途設置したモバイルWi-Fiルータ経由でデータをWebサーバに送信しています。
このIoTデバイスは電池駆動ですが、以前行った調査によると、今回の構成なら半年以上にわたり連続稼働できる見込みです(記事は こちら)。
つまり、イチゴ栽培が終了するまで、電池交換は不要になるはずです。
ハウス内なので雨などの心配もないため、デバイスはビニール袋に入れただけで、そのまま畝の横に置いています(センサのみ袋の外に出しています)。
さて、このデバイスを実際にビニールハウスに設置し、当初は何の問題もなく温度観測できていたのですが、稼働開始から1ヶ月ほど経った頃、4台のうち2台が相次いで停止してしまいました。
机上計算では半年以上は稼働できる見込みだったので、想定よりも短すぎます。
何か原因があるのではと考え、現地に訪問してみました。
すると、畝の横にビニール袋に入れて置いていたデバイスが、こんな状態になっていました。
袋の中に水がたくさん入ってしまっています。
また、停止していないデバイスも、袋の内側には水滴がいっぱいついています。
畝間の通路にも水たまりができており、イチゴへの水やりによるものにしては湿りすぎています。
知り合いの方に理由を聞いてみました。
実は、ハウス内の温度をできるだけ下げないための対策として、「凝縮熱」というものを活用しようとしているそうです。
「凝縮熱」というのは、水蒸気が水になる時に放出する熱のことです。
「打ち水」をすると、水が蒸発するときに周囲から熱を奪って(気化熱)涼しくなりますが、この逆の現象です。
ヒートテックの衣類が暖かいのも、この「凝縮熱」が理由なのだそうです。
このハウスでは、「凝縮熱」を夜間に発生させるために、気温が下がる夕方に、空気中に水をミスト状に散布し、あらかじめ湿度をあげておきます。
その後、気温が下がると、空気中の水分が水になり、その際に熱が発生し、気温の低下を軽減できるという仕組みです。
つまり、ハウス内では、湿度100%の状態が頻繁に発生していることになります。
湿度100%の空気がビニール袋の中に入り、気温が下がると空気中の水分が水になり、それが袋の中に溜まる、これが毎晩繰り返されることで、袋の中に水がたくさん溜まってしまったようです。
雨がかからないからと、防水対策をしていませんでしたが、これは想定外でした。
急遽、防水対策をすることにしました。
安価にすませるため、百円ショップで購入したパッキン付きの保存容器を使います。
ケーブルを通すために、ケーブルグランドも使います。
容器に穴を開け、ケーブルグランドを取り付ければ完成です。
デバイスを袋から取り出し、容器の中に入れます。
センサ以外のパーツを容器の中に入れ、センサとマイコンを繋ぐケーブルをケーブルグランドに通します。
容器は、元と同じように、畝の横に置いておきます。
これで防水対策として十分か、しばらく様子を見ようと思います。
なお、私がM5Stack、M5StickCの使い方を習得するのにあたっては、以下の書籍を参考にさせていただきました。
ごく基本的なところから、かなり複雑なスケッチや、ネットワーク接続など、比較的高度なものまで、つまづかずに読み進めていけるような構成になっており、大変わかりやすい本です。