私は、小中学生にプログラミングなどを教えるボランティアグループのメンバーになっています。
このグループでは昨年度より、兵庫県川西市にある「ゆめほたる」という啓発施設にて、小中学生に電子回路とマイクロビットプログラミングを教える通年制のワークショップ「ゆめほたる環境科学技術塾」を実施しています。
月1回のペースで合計9回実施し、「電子回路」や「プログラミング」についてそれぞれ数回の講義を行う他、そこで得られた知識を使って、各自に自由に作品をつくってもらおうという活動です。
先日、2022年度の全てのカリキュラムが終了し、「成果発表会」を開催しました。
発表会の場では、生徒の皆さんがプレゼン資料なども準備し、自分の作った作品を紹介してくれました。
その場で、改めて生徒の皆さんがつくった作品を見た訳ですが、当初の私たちの予想をはるかに超えた、本当にすばらしい作品ができあがっていました。
あまりにもすばらしく、ちょっと感動してしまったので、ここで作品の概要を紹介しておこうと思います。
僕のスマートハウス
模型の家にマイクロビットを埋め込み、スマートホームの機能を再現しています。
降雨センサとドアスイッチを取り付け、雨が降り出したり家のドアが開いたりすると無線で通知が届きます。
また、天気がよければ自動で物干し竿がクルクル回ります。物干し竿の回転・停止はリモコンで手動操作することも可能です。
非常にたくさんの機能が盛り込まれていますが、それらの組み合わせをきちんと整理して制御できていました。
また、降雨センサやドアスイッチはアルミホイルを用いて自作しており、工作の部分でもいろいろな工夫がされていました。
金魚エサやり機
一定時間ごとに金魚にエサをやるシステムです。
設定した時間が経過すると、サーボモーターでエサが入っている容器のフタを一瞬だけ開き、エサを少しだけ出す仕組みです。
つくり始めた当初から、エサのやり方についていろいろなアイデアを考えて試していました。
最初はなかなかうまくエサが落ちませんでしたが、試行錯誤を重ねてどんどん改良していき、最終的にはかなり安定して動くようになりました。
エサの補充がしやすいよう容器を取り外ししやすくするなど、実使用を想定した工夫も盛り込まれており、すばらしい作品に仕上がっていました。
ロボパトカー
2台のマイクロビットを使って無線操縦するロボパトカーです。
親機のマイクロビットを前後左右に傾けると、その方向にパトカーが動きます。
また、親機のAボタンを押すとパトカーのサイレンが鳴り赤色灯が点灯します。Bボタンで停止できます。
サイレンを鳴らしているときにモーターを制御するなど、同時に複数の処理を行うプログラムはかなり高度で難しいのですが、とても安定して動いていました。
また、たくさんの機能がつみこまれていますが、工作もとても丁寧で、赤色灯部分のLEDの点滅は本当のパトライトみたいでした。
リユースロケット・プロジェクト
ペットボトルロケットとマイクロビットを組み合わせた作品です。
ペットボトルロケットの中にマイクロビットとサーボモーターを格納しており、マイクロビット内蔵の加速度センサでサーボモーターを制御し、ロケット降下時にパラシュートを開く仕組みです。
発表会当日の朝に最後の実験をしてきたとのことですが、実験は失敗だったらしく、ロケットはこわれてしまっていました。
発表では、その結果も含め、これまで何回も繰り返してきた実験の経過を報告してくれました。
実験データもきれいにまとめられており、すばらしい発表でした。
プログラム制御によるミッフィー電車の自動ドア
昨年度もワークショップに参加していた方による作品です。
昨年度は阪急電鉄の「リサとガスパール電車」をモチーフに、マイクロビットによる無線操作でリサとガスパールが旗を上げ下げする作品をつくっていたのですが、今年度も阪急電鉄の「ミッフィー電車」をモチーフにした作品です。
昨年度の作品と組み合わせ、無線操作でリサとガスパールが旗を上げ、電車の発車メロディーが流れてからミッフィー電車のドアが閉まります。
超音波センサも使用しており、人が近づいたときにドアを開閉することもできます。
モーター、サーボモーターやスピーカー、超音波センサなどさまざまな部品を組み合わせており、プログラム、工作ともにとても複雑な作品です。
プーリーなどの部品は自作しており、電車の両開きドアをモーターひとつで開閉させるなど、さまざまな工夫が盛り込まれています。
玉入れロボット(小学生ロボコン課題)
小学生ロボコンに応募した作品です。
今年度の小学生ロボコンのルールは、4個のモーターを使った自作ロボットを使い、できるだけたくさんのピンポン玉をゴールに入れるというものです。
遠近2箇所のゴールにピンポン玉を入れる仕組みをどのようにするかがポイントになりますが、このロボットでは、遠くのゴール用にボールを1個ずつ安定して落とす仕組みをつくり、近くのゴール用にはピンポン玉をゆっくりと押し出す仕組みを取り入れました。
ピンポン玉をゆっくりと押し出す仕組みは「アルキメデスのポンプ」にヒントを得て思いついたそうで、とても面白い仕組みである上、非常に安定して動作していました。
このロボットは小学生ロボコンのオンライン予選会を通過したとのことで、3月には全国大会に参加することになったそうです。
どの作品も、個性にあふれたすばらしいものでした。
また、つくった作品の内容はもちろんのこと、プレゼン資料の質や発表の仕方もすばらしく、本当に感動した1日でした。
なお、私がマイクロビットの使い方を習得するのにあたっては、以下の書籍を参考にさせていただきました。
初心者向けから、比較的高度なものまで、さまざまな情報が記載されているだけでなく、子供向けの作例も多数掲載されていますので、「プログラミング教育」のための題材さがしなどにもおすすめです。