マイクロビットを使ってみる 〜ワークショップ講師が自作したマイクロビット拡張ボード

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センサ・電子回路との接続

私は、小中学生にプログラミングなどを教えるボランティアグループのメンバーになっています。

このグループでは、小学生に電子回路とマイクロビットプログラミングを教える通年制のワークショップを実施しています。月1回のペースで合計9回実施し、「電子回路」や「プログラミング」についてそれぞれ数回の講義を行い、そこで得られた知識を使って、各参加者に自分で考えた作品をつくってもらおうという活動です。


このワークショップでは、数年前から生徒に「KEYESTUDIOモータードライバー拡張ボード(KS4033)」を販売し、これを使って作品をつくってもらっています。


当初は、普通に「ワニ口クリップ」などを使ってマイクロビットと外付け部品をつないでもらっていたのですが、工作の途中でクリップが外れたりして、作品がきちんと動かなくなるという機会が非常に多かったため、このような拡張ボードを使ってもらうことにしました。

この拡張ボードは、「多数のマイクロビット端子を取り出すことができる」「外付け部品をつなぐ際に5Vと3Vの2種類の電源が使える」などの特長があり、大変使いやすい製品です。
これまでは、「サーボモーター」や「超音波センサ」など、5V電源を使わないと安定して動作しない部品をマイクロビットと一緒に使う際には、電源をどのように供給するかその都度悩んでいましたが、この拡張ボードを使うことでそのような悩みは解消しました。また、たくさんの端子が使えるので、「モーター」「超音波センサ」「フォトリフレクタ」「フルカラーLED」「サーボモーター」など、多数の外付け部品をマイクロビットにつないでいる生徒もいます。

このように「KS4033」はとてもよい拡張ボードだと思いますが、生徒に使ってもらっていると、やはり少しずつ不満な点も出てきます。
最も大きな不満は「電源供給方法の問題」です。
「KS4033」では、青色のターミナルブロックから「5V〜10.8V」の電源を供給することになっています。生徒には「単三×4本の電池ボックス」を別途販売し、それをターミナルボックスにつないでもらっているのですが、子供はどうしても、マイクロビットだけを手に持ち、電池ボックスをブラブラぶら下げてしまうような扱い方をしてしまうことも多く、電池ボックスの配線が切れてしまうことが頻繁に生じます。
KEYESTUDIOの拡張ボードには「KEYESTUDIOセンサーシールド(KS0360)」という製品もありますが、こちらも電源供給方法は「DCジャック(7V〜9V)」もしくは「マイクロUSBポート(5V)」と、ワークショップで使うには少々扱いにくい仕様になっています。


このような状況を一緒に見てきたボランティアグループのメンバーが、これまでの不満を解消した「マイクロビット用拡張ボード」を自作してくれました。
こちらがその拡張ボードです。

基板の裏に「単三×3本の電池ボックス」を固定しています。これで電池ボックスの配線が切れてしまう心配はなくなります。

また、電源をON/OFFするためのスイッチも搭載してくれました。これまでは拡張ボード自身に電源スイッチがなかったため、スイッチ付きの電池ボックスで対応していたのですが、そのような不便もなくなりました。

マイクロビットから取り出す端子も厳選されています。「KS4033」や「KS0360」では全ての端子が外に出ているのですが、そのうちP3〜P7とP9〜P11はマイクロビット搭載LEDやボタンと共用になっており、実質的には使いものになりません。今回の拡張ボードでは、それらの端子は省かれており、生徒にとって分かりやすくなっています。
また、「KS4033」や「KS0360」には「グランド・電源・信号端子」が3連になったピンと、「信号端子」のみのピンがありますが、ワークショップでは3連のピンしか使われていなかったため、今回の拡張ボードでは3連のピンのみになっています。これまではピンが多かったため、抜き差しに苦労する生徒も多かったのですが、このようなシンプルな構成にすることで作業も簡単になり、差し間違いなどのミスも減りそうです。
3連ピンの電源電圧は、ジャンパーピンで3Vと5Vの切り替えができるようになっており、接続する外付け部品によって適切な電源電圧を供給することができます。

基板は「KiCad」を使って自身で設計し、「JLCPCB」に発注したとのことです。基板を含めた材料費は500円程度だそうです。
また、今はまだ取り付けていませんが、基板にはターミナルブロックを取り付けられるようになっており、そこから「グランド」「電源(3V系と5V系)」「主な信号端子」を取り出すこともできます。

小学生の生徒にも使いやすそうで、とてもよい拡張ボードだと思います。

私たちが実施しているワークショップでは、ほとんどの生徒がモーターを使った作品をつくるため、拡張ボードにはモータードライバが搭載されている必要があります。
そのため、今後のワークショップでこの拡張ボードをそのまま使うことはできませんが、もしもモーターを使う必要がなければ、この拡張ボードは非常に良い選択肢になりそうです。

なにより、これほど完成度の高い拡張ボードを個人で製作できるということに改めてビックリしました。

 

なお、私がマイクロビットの使い方を習得するのにあたっては、以下の書籍を参考にさせていただきました。


初心者向けから、比較的高度なものまで、さまざまな情報が記載されているだけでなく、子供向けの作例も多数掲載されていますので、「プログラミング教育」のための題材さがしなどにもおすすめです。