マイクロビットを使ってみる 〜ワークショップ参加者の皆さんがつくった作品を紹介します

スポンサーリンク
電子工作の作例

私は、小中学生にプログラミングなどを教えるボランティアグループのメンバーになっています。

このグループでは2021年度より、小中学生に電子回路とマイクロビットプログラミングを教える通年制のワークショップを実施しています。
月1回のペースで合計9回実施し、「電子回路」や「プログラミング」についてそれぞれ数回の講義を行う他、そこで得られた知識を使って、各参加者に自由に作品をつくってもらおうという活動です。

先日、2024年度の全てのカリキュラムが終了し、「成果発表会」を開催しました。
発表会の場では、生徒の皆さんがプレゼン資料なども準備し、自分の作った作品を紹介してくれました。

今年度は例年と比べても、非常にバリエーションにとんだ、とてもすばらしい作品がそろいました。
ここで作品の概要を紹介しておこうと思います。


金属回収ラジコンカー(小4)

2台のマイクロビットを使い、無線で操縦できるラジコンカーです。
ラジコンカーには前後左右に走行するためのモーター2個、クレーンを上下させるためのモーター1個、クレーンの先に電磁石が搭載されており、それらを無線で制御できます。
送信機側にはブレッドボードにいくつかのタクトスイッチが取り付けてあり、マイクロビットのふたつのボタンと組み合わせてさまざまな操作ができるようになっています。
クレーンを上下させる際のトルクを上げるために、当初予定していたサーボモーターからギア付モーターに変更したり、電磁石の磁力を増すためにエナメル線の太さや巻き数を調整したりと、さまざまな工夫をしています。

ヌートリアを捕まえろ!(小2)

私たちは近所に畑を借りて家庭菜園を楽しんでいるのですが、最近そこにヌートリアが侵入してきて困っています。
そこに遊びにきてくれた子が、その話を聞いて考えてくれた作品です。
ヌートリアが柵に穴をあけて侵入した痕跡や、作物を食べた跡などを見て、ヌートリアを捕まえるための仕組みを考えてくれました。
ひとつは柵に振動センサを取り付け、柵の揺れをにより獣の侵入を検知する仕組み、もうひとつは作物近くに距離センサを取り付け、なにかが近づいてきたことを検知する仕組みです。
ヌートリアを退治する仕組みも、当初は輪ゴム鉄砲でやっつけようとしていたものを、網を落とす方式に変更し、より実用的なものになりました。

自作踏み切り(小2)

距離センサで電車の接近を検知すると遮断機を下ろし、警報機が点滅します。カンカンという音も鳴ります。
ワークショップの電子工作の講座で説明した「サーボモーター」「LED」「距離センサ」を組む合わせてつくられています。
警報機のLEDは、半透明のアイロンビーズで封止してあり、外から見えないようにきれいにつくられています。
また、警報機の音も、マイクロビットでの音の出し方を工夫して、本物にかなり近い音になっています。
とてもきれいにつくられた、非常に完成度の高い作品です。

猫型4足歩行ロボット(小6)

昨年度から参加してくれている子の作品です。
昨年度も4足歩行ロボットをつくりましたが、同じテーマで更に完成度を高めてくれました。
昨年度の作品に対し、ギアボックスのギア比を変えたり歩幅を変えたりして、よりスムーズに歩けるようにしました。
また今年度は、もう1台のマイクロビットから無線で操縦できるように改良しました。
昨年度はよちよち歩きという感じでしたが、今年度はとてもしっかり歩けるようになっていました。

環境発電プロジェクト(中1)

小4のときから4年連続で参加してくれています。
今年度は単なる工作ではなく、研究テーマを決めて実験などを行い、その結果を発表してくれました。
テーマは「エネルギーハーベスティング(環境発電)」で、具体的には「太陽光」「風力」「圧力」「磁力」の中で、中学生の普段の生活において最も効率的に発電できるのは何か?を調査するというものです。
結果は「圧力」が最も効率的というものでした。圧電素子をスニーカーの底に仕込んで歩行による発電量を測定しており、内容がユニークでありながら実用的な形に仕上げられており、とても質の高い報告でした。

今年度は低学年の参加者も多かったのですが、発表された作品はいずれも、とても完成度が高いものでした。
保護者の方々もたくさんのサポートをしておられたようで、親子で力を合わせて作品づくりをするというのもすばらしいことだと思いました。

 

なお、私がマイクロビットの使い方を習得するのにあたっては、以下の書籍を参考にさせていただきました。


初心者向けから、比較的高度なものまで、さまざまな情報が記載されているだけでなく、子供向けの作例も多数掲載されていますので、「プログラミング教育」のための題材さがしなどにもおすすめです。