自然コメ栽培を体験する 〜種もみの選別・温湯消毒

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自然農たんぼ実験

近くの里山地域で活動しておられる自然栽培サークルでは、定期的に、自然栽培のコメづくり体験イベントを開催しています。

今回、コメづくりの最初のステップである「種もみの選別・温湯消毒」体験に参加してきました。

事前準備

後の作業を楽にするために、脱穀した種もみからワラなどを取り除きます。
扇風機で送風し、その上の方から種もみを少しずつ落とすと、重い種もみはそのまま下に落ち、軽いワラは風で遠くに飛ばされます。

以前は「風選機」という道具もあったそうですが、今回は家庭用扇風機を使いました。

1反あたり2kg程度の種もみが必要とのことです。選別で減ってしまうので、多めに準備します。

種もみの選別(塩選別)

川の水を汲み、それに食塩を入れて比重を調整します。
川の水には塩素が入っておらず、ミネラルが含まれているので、この作業に適しているそうです。

最初に、10リットルの水に2kgぐらいの食塩を溶かし、そこから水や食塩を足していきながら、比重を調整します。
今回は「ヒノヒカリ」といううるち米と、「ハッピーヒル」というもち米で作業を行いましたが、比重は「ヒノヒカリ」で1.13(大雑把には、生卵が浮くぐらいの比重です)、「ハッピーヒル」で1.08にします。
比重をはかるための「塩水選種計」という道具もあります。

つくった塩水の中に、種もみを入れ、軽くかき混ぜます。少し置いておくと、質の悪い種もみが浮いてくるので、それをザルで取り除きます。
下に沈んでいる重たいものが、質の良い種もみです。

一度に全ての種もみを選別することはできないので、何回かに分けて作業します。
せっかく作った塩水を使い回すため、バケツをふたつ用意し、種もみの入った塩水をネットでこしながら、もうひとつのバケツに移します。これでネットに種もみが貯まります。

種もみを長時間塩水につけていると良くないため、選別が終わったらすぐに、食塩の入っていない川の水につけておきます。

結構な分量の種もみを取り除くことになり、もったいない感じです。主催者の方は、この種もみを食べさせるために鶏を飼いたい、と言っておられました。

温湯消毒

川の水をわかし、60℃にし、そこに選別した種もみを入れて消毒します。
温度が重要とのことで、低すぎると消毒できず、高すぎると種もみの発芽率が低下してしまうそうです。

水温を60℃でキープしたまま、「ヒノヒカリ」で10分、「ハッピーヒル」で7分浸します。
一度にたくさんの種もみを入れると温度が下がってしまうので、この作業も何回かに分けて行いました。

消毒が終わったら、種もみの働きを活発にするために、冷水につけます。

浸種

消毒が終わった種もみを発芽させるために、水分を吸収させます。

種もみをネットに入れたままで、川に数日間つけておきます。
つけておく日数は水温によって変わります。「水温×日数」を「積算温度」と言いますが、発芽に必要な積算温度は100℃とのことで、水温が15℃であれば7日間、水温が12℃なら8日間つけておくことになります。水温は30℃ぐらいまでならなんとか大丈夫ですが、できれば17℃以下が良いそうです。

この日の水温は若干低めでしたので、やや時間をかけて、じっくり浸種することになりそうです。

なお、浸種には酸素が必要です。今回は種もみを川につけたので、そのまま置いておけば良いのですが、貯めた水につける場合は、水を毎日交換しなければいけません。

今回は、田んぼ1反分の種もみを、数人のメンバーで選別したので、半日の作業で楽しく実施することができましたが、農家の方がひとりでするとなると、なかなか大変な作業だと感じました。


この記事で記載している体験イベントは、自然栽培倶楽部「ひなたぼっこ」というサークルで実施しているものです。
「ひなたぼっこ」は、兵庫県川西市の「日本一の里山」と言われている黒川地区で、化学肥料や農薬を使わないコメ・野菜栽培に取り組んでいます。