おもちゃのケーブルカーをつくる(1) 〜巻上機

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工作

私は兵庫県の里山地域に畑を借り、そこで仲間といっしょに家庭菜園を楽しんでいます。

さて、畑のすぐ近くには「妙見の森」という施設があり、そこではケーブルカーが運行されているのですが、この「妙見の森」が近々営業終了するという発表がありました。

このニュースを聞いた畑のメンバーから、「妙見の森ケーブル」の廃止を惜しんで、ケーブルカーのおもちゃをつくり、それを畑で動かしたいという意見が出ました。
そのため、ケーブルカーの仕組みを知りたいと思いネット検索したところ、「妙見の森」を運営している「能勢電鉄」が、とても面白く分かりやすいYouTube動画を投稿していました。

これを見ると、ケーブルカーには技術的にもいろいろと面白い点があるため、それらもある程度取り入れて、実物に近い仕組みで動かしたいと思い立ちました。
また、私はボランティアで、「環境・再エネ」をテーマに小中学生に電子工作やマイクロビットプログラミングを教えるワークショップを実施しているので、それも踏まえて、以下のような仕様でおもちゃのケーブルカーをつくることにしたいと思います。

  • ケーブルカーのサイズは牛乳パック程度、重さは最大500グラム程度とする。
  • 線路の長さは2メートル程度、高低差は1メートル弱とする(畑にある段差に設置することを想定)。
  • 線路の上部に「巻上機」を設置し、「つるべ式」で2台のケーブルカーを動かす。
  • 巻上機の動力として、こどもの工作でもよく使われている「FA-130RA」モーターを使用する。
  • 実物と同じように、滑車を使ってロープを引っ張る。
  • 2台のケーブルカーがすれ違う時の仕組みも実物と同じようにする(「溝車輪」と「平車輪」を使用)。
  • ケーブルカーの操作には「マイクロビット」を使う(ボタンを押して運転・停止)。
  • 「再エネ」のため、Ni-MH電池とソーラーパネルを利用し、発電した電力でケーブルカーを動かす。
  • 「つるべ式」は消費電力が少ないとのことで、それを確認するためにマイクロビットでモーターの消費電力(電圧と電流)を測定する。
  • 実物にはATS(自動列車停止装置)が付いているため、それに似た機能として、磁気スイッチを使い、ケーブルカーが駅に着いたら自動停止するようにする。

こんな感じのところに設置したいと考えています。

まずは「巻上機」について検討します。

ケーブルカーは「交走式(つるべ式)」という仕組みで動いているそうです。
つるべ式では、山上駅にある機械室に「巻上機」を設置し、それでロープを引っ張ることでケーブルカーを動かします。
ロープの両端にはそれぞれケーブルカーが取り付けられており、一方が上がるときにはもう一方が下がります。

ケーブルカー自身の重さを利用するため、特に降りる方のケーブルカーが重い時(乗客が多い時)にはあまりエネルギーを使わないそうです。エネルギー効率が良く、環境にもやさしい方式です。

また、「巻上機」はこのようになっているそうです。

モーターで滑車を回し、滑車にかかっているロープを引っ張ります。
ロープを滑りにくくするために、2組の滑車にロープを8の字にかけているようです。

この巻上機をこどもの工作用モーターでつくるため、まずはギヤボックスを使ってモーターの回転速度を落とします。


また、モーターの先の滑車の部分は、タミヤのプーリーセットを組み合わせてつくります。



50mmプーリー 6個と11mmプーリー 1個を組み合わせます。これで8の字で2回巻けます。

動作確認してみました。
500mlのペットボトルを2本用意し、一方には2/3程度、もう一方には1/3程度の水を入れます。これをケーブルカー代わりにします。
ロープとして、畑で園芸に使っている麻ひもを利用します。
板を斜めに置き、その上に巻上機やペットボトルをセットします。巻上機の滑車にロープをとおし、モーターに単三電池2本をつないだところ、ペットボトルはなんとか動きました。進行方向を逆にしても問題ありません(写真は仮につくった時点のもののため、プーリーが最終的につかっているものと異なります)。

なお、一方のペットボトルを空にしたり、逆にペットボトルいっぱいに水を入れたりすると、滑車にかけたロープが緩んだり、滑車が空回りしたりして、ペットボトルを動かすことができませんでした。
この辺りについては、最終的にはロープの材質を変更したり、ケーブルカーに車輪をつけたりと、いろいろと状況が変わるはずなので、全体構成が確定してから調整していきたいと思います。

一応、動作確認はうまくいったので、最後に各パーツを木の板に固定して完成させました。
なお、実物のケーブルカーでは、巻上機は地下の機械室に設置されていますが、今回つくるおもちゃでは地上(線路と同じ高さ)に設置する予定です。
実物と同じように、50mmプーリーの上端からロープを引き出すと、その先につながるケーブルカーが上向きに引っ張られる形になり、ケーブルカーが浮いてしまう可能性があります。
そのため、ロープの引き出し部分に小さい滑車を取り付け、ロープが低い位置から引き出されるようにしています。

次は、このモーターを動かすための制御部(マイクロビットや電源まわり)を作っていきたいと思います。