「gacco」というオンライン学習サービスがあります。
「gacco」は、(株)ドコモgacco が運営しているオンライン講座プラットフォームで、さまざまなジャンルの大学レベルの講義を、誰でもオンラインで、しかも無料で受講できるサービスです。
ここで提供されている講座の中に、Googleが開講している「働き方のこれからをつくろう」というものがありました。
私自身は現状、ほぼ単独で仕事をしており、働き方改革の必要性をあまり感じていないのですが、だからこそ、世の中の現状と今後について少しでも把握しておく必要があると考え、本講座を受講しました。
ここでは、本講座のサマリをまとめておきます。
現状把握と将来に向けた課題
現在、約1億2500万人の日本の人口は、2050年には1億人に減少します。
また、生産年齢人口の割合は、現在の60%から、2050年には50%に減少します。
つまり、現在約7500万人の労働人口が、30年後には5000万人と、なんと 2/3 に減少してしまいます。
これに対応するため、テレワークを含めたさまざまな働き方が重要となり、政府も「テレワークデイズ」として、「在宅」、「モバイルワーク」、「サテライトオフィス」などを推進しています。
現在のコロナ禍の中、既に多くの企業がテレワークを実施しており、それらの企業へのアンケートの結果、「前向きで生産性の高い人は、より生産性があがる」、「テレワークにより前向きな人が増える」といったような効果があったそうです。
一方、企業から見たテレワークの課題としては、「企業カルチャー」、「評価制度」、「周囲の理解」、「書類に押印が必要などシステム面の課題」などが挙げられ、従業員から見ても、「慣れが重要」、「コミュニケーションや仕事のON/OFFなど、カルチャーや制度」、「資料やツールなどのシステム」が課題となっています。
まとめると、より効果的なテレワークの実現のためには「カルチャー構築」と「システム導入」が必要となります。
求められるアクションとマインドについて
自立した働き方のためには「ミッションと戦略を明確にする」、「一人一人が高い目標を目指す」、「ダイバーシティを尊重する」、「マネージャーは管理者ではなくコーチである」必要があります。
重要なポイントは、「心理的安全性(リスクなしに本音を語る)」、「相互信頼(お互いを理解し受け入れる)」、「構造と明確さ(役割目標が明確)」、「仕事の意味(仕事の内容成果に意味がある)」、「インパクト(自分の成果に意義がある)」5つで、中でも「心理的安全性」が最も大事な点です。
「分散型ワークスタイル」で「心理的安全性」を確保する上での大きな課題は「つながりの質(一体感)」です。先ほどのアンケートでは、テレワークを実施した従業員の2/3が「一体感が感じられない」と回答しているそうです。
これに対し、「質の高いつながり」を実現するために、Googleが必要と考える要素は以下の3つです。
- 物理的つながり(オンラインで仕事をするための適切なスペースを確保)
- 技術的つながり(場所や時間の制約を超える、通話の接続、資料の共有)
- 心理的つながり(信頼関係の構築、孤立感を防ぐ)
中でも「心理的つながり」は重要で、意識してつくりだす必要があるとのことです。
また、「分散型ワークスタイル」を実現するポイントは「place」、「people」、「practices」の3つの「P」です。
- place(働く環境、働きやすさ)
- プライバシーを確保、表情が見えやすいWebシステム
- テクノロジーの合理化、時間のずれによる負担を軽減
- people(相手を尊重、一体感)
- 人として知る(他人の趣味などについても知る)、自分のことを共有する
- 存在する(離脱したり内職したりしない)
- 違いを認める(柔軟な働き方を尊重し、干渉しない)
- チームアイデンティティ(チームに親近感をもつ)
- practices(同じ会社の社員であるという意識づけ)
- より頻繁にコミュニケーション
- 規範を明確化
- あえて連絡してつながりを保つ
- 一体感を意識したミーティング(会議進行を工夫)
実現方法
これらのアイテムに対し、Googleツール群の活用方法も含めた具体的な働き方の提案がありました。
「生産性」や「つながりの質」を高めるポイントは、「コミュニケーションの活性化」、「業務プロセスの変革」、「透明性の高い情報共有」です。
コミュニケーションの活性化
ビデオ会議、トレーニング管理ツール、チャットツール、SNSプラットフォームなど、テクノロジーを活用することで、コミュニケーションを活性化することができます。
短いミーティングを頻繁に行うことも重要です。カレンダーを共有し、カレンダーから気楽に会議に入ることもできます。
業務プロセスの変革
従来の資料作成では、ファイルを平行して作成し、最後にひとつにまとめたり、ひとつの書類をリレー形式で回していく必要がありました。
これに対し、クラウド上で資料を共同編集することで、資料作成を効率化できます。この方法はアイデア出しやブレーンストーミングにも活用でき、打合せ議事録の作成なども不要になります。
その他、資料のペーパーレス化や、承認プロセスのオンライン化も有効です。
透明性の高い情報共有
社員が持つ情報、知識、メンバーの業務、進捗が明確になっており、それらをオンライン上でも共有することが重要です。
カレンダーやスケジュールの共有、業務報告や出退勤記録のオンライン化の他、コンテンツの共有も大切で、Google Driveなどのクラウドストレージの利用が効果的です。共有設定を使うことで、適切な共有範囲を指定できます。
テレワークを円滑に遂行するための、マインド面、システム面での多くの提案がありました。
普通に考えても納得できる話が多く、提案されていることの一部でも業務に取り込むことで、より働きやすくなるのでは?と感じました。