「小さい田んぼでイネつくり」を学習

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自然農学習

知り合いの方から畑の一画をお借りして、自然農での野菜栽培を体験中ですが、今年は、この畑の端に小さな水田エリアをつくり、自然農での稲作をやってみようと計画中です。

全く知識のない状態ではじめてしまいましたが、1年をとおした作業の流れを把握しておきたいと思い、今更ながらこちらの書籍を読んでみました。


とても興味深い話が色々と書かれており、大変参考になりましたが、ここでは備忘録として、この書籍に記載されている「1年間の作業の流れ」を簡単にまとめておきます。


1人が1年間に食べるコメの量は60kgとのことです。
また、この本に記載されている方法でコメをつくると、100m2の田んぼで60kgのコメが収穫できるそうです。
つまり、500m2程度の田んぼで、4人家族の1年分のコメがまかなえる計算になります。

よって、ここでは500m2の田んぼでコメをつくる想定で記載します。

種モミの選別・浸種(種まきの1ヶ月前:春分の日の頃)

種モミは500m2あたり500g準備し、そのうち半分の250gは何らかの事故があった場合、もしくは次年度用の種モミを採取できなかった場合に備えて、予備として冷蔵庫に保管しておきます。
実際に使用する種モミは250gになります。250gの種モミで1万粒以上あります。
500m2で6000本弱の苗が必要なので、1万粒の種モミで6000本の苗をつくり、余分にできた苗は補植用にすることになります。

塩水選で種モミを選別します。このとき塩水の比重はそれほど気にしなくてもよいそうです。

選別が終わったら川の水に浸けておきます(浸種)。
川の水は13℃以下が良いそうです。また、川の水に浸けられない場合は13℃以下の水に浸け、日陰に置いておき、水は毎日変える必要があるとのことです。
水温が13℃以下の場合、種まきに適当な状態になるまで、約1ヶ月かかります。

種まきできる状態になったら、水から出して洗い、乾かないように布かビニール袋でくるみ、種まきまで冷蔵庫で保蔵します。

土ぼかしの準備(種まきの1ヶ月前:春分の日の頃)

種モミの選別をするのと同じぐらいの時期(春分の日の頃)に、種まきのときに覆土として使う「土ぼかし」を仕込みます。
米ヌカと山土を同じ量で混ぜ、水を加えて握ってくずれるぐらいの状態にします。
シートをかけて管理し、週1回のペースで攪拌します。
1週間ぐらいで熱が出て、攪拌をつづけるうちに熱が出なくなるそうです。

苗代つくり(種まきの2週間前)

苗代は、田んぼの一番いい場所につくります(日当たりがよく、水の調整が容易、肥沃しており作業しやすい場所)。

苗代予定値2m2には、冬の間に米ヌカ1kgを2〜3回撒いておき、種モミ選別と同じ時期(春分の日の頃)にも米ヌカを撒きます。
種まきの2週間前に、苗代になる部分(1m × 2m)を鍬で荒起こしします。深さは15cm以上、細かく土をくだき、草が多すぎたら取り除いておきます。
荒起こししたら、すぐに水を入れます。

水を入れて1週間たったら「代かき」をします。
代かきは、水を張った状態で土をさらに細かく砕き、丁寧にかき混ぜて、土の表面を平らにする作業です。
土の表面を水平にするのが重要なので、水を浅く張って確認しながら丁寧に平らにします。
代かきが終わったら、種まきの3日前までそのまま水を張っておきます。

種まき(田植えの5〜6週間前:4月下旬)

種モミは種まきの前日に冷蔵庫から取り出し、新聞紙の上に広げて少し乾かしておきます。

2m2の苗代に、250gの種モミを、できるだけ薄めに撒きます。
苗代に雑草が生えそうな場合は、草取りをしやすくするため、苗代に5cm間隔で線を引き、その線上に2cm間隔で種モミを撒いていきます。
撒き終わったら、先に準備した土ぼかしを、2m2あたり1kg、その上にくん炭を種モミが隠れるぐらい撒きます。

種まきが終わったら、保温のため、穴あきビニールでトンネルをつくって覆います。
30℃以上にならないように調整します。

また、種モミが水没しない程度に水をやります。
乾いたら水をやる感じで調整し、発芽したら、やはり水没しない程度に与える水の量を増やしていきます。

3週間程度たったらビニールトンネルを外し、それ以降も水を張り続けます。

田植えの準備

田植えの1ヶ月前に、田んぼに米ヌカを撒いておきます。
500m2あたり50kgぐらい撒きます。田んぼの草の色が薄かったり、草の量が少なかったりしたら、肥料不足なので100kgぐらいに増やします。

田植えの1週間前に、田んぼの緑肥を刈り払い機で刈り倒し、土を耕して土の中にすき込みます(荒起こし)。
その際、耕す深さは5cmぐらいで、土はできるだけ細かくします。
荒起こしが終わったら、すぐに水をためます。

水がたまって2〜3日たったら、代かきをします。
代かきが終わったら水を張ったままにしておき、田植えの1〜2日前に水を抜きます(田んぼに線を引くため)。

田植え(5月末)

田植えの当日もしくは前日に、苗取りをします。
苗取りは、根、特に株元を痛めないよう、1本ずつていねいに行います。指を土の中に入れ、ゆっくりと横に引き抜くようにするのが良いそうです。
苗取りした苗は、乾かないようにおいておきます。

田植えの当日、田んぼに30cm角の格子状に線をひきます。

苗は、浅くしっかりと植えます。植える時に株元が痛まないように注意します。
浮き苗が出た場所については、後ほど補植します。

田植えが終わったら、すぐに水を張ります。水位は8cm以上になるようにします。
水が行き渡ったら、500m2あたり15kgの米ヌカを撒きます。

田んぼの管理

田植えの翌朝には、苗は活着しています。

田植えの3日〜1週間後に「コロガシ」を行います。縦横2回ずつ実施します。
ドブのような匂いがする場所があれば、そこにくん炭を撒いてコロガシをします。
以降も余力があればコロガシを行います。コロガシをやりすぎて問題になることはありません。7月初旬まではやっても大丈夫です。
コロガシをやる際に、苗の抜けてしまった箇所に補植します。6月中は補植しても成長が追いつくので大丈夫です。

田植えの1週間後に500m2あたり8kg、2週間後に4kgの米ヌカを撒きます。

水位は8cm以上をキープします。
イネが成長していくに従い、できれば更に深くします。

7月初旬からは「間断灌水」を行います。
間断灌水とは、3〜4日間隔で水を入れたり抜いたりを繰り返すことです。
水を入れ、自然に抜けるのを待ってまた水を入れるという感じで繰り返すようです。
これをイネ刈り直前まで続けます。

この時期に「中干し」をすることもありますが、手作業中心の田んぼでは基本的に中干しは不要とのことです。

株の中で一番背丈が高いものの茎の根元が、扁平な楕円から円になったぐらいのタイミング(7月初旬頃?)に、穂肥を500m2あたり15kg与えます。
穂肥は、米ヌカに水を混ぜ、2週間おいて発酵させたものです。

出穂の時期以降のイネは、大量の水が必要です。
この時期も間断灌水は続けていますが、土が乾かないように注意します。
イネが倒れそうな時は、田んぼを干す以外に対策はありませんが、それでも開花時期は避けて干すようにし、やや乾き気味の間断灌水を行う感じにします。

イネは水分を長く保つほど充実するので、イネ刈りのギリギリの時期まで間断灌水を続けます。
イネ刈り作業をするためには、いつ水を抜けば田んぼが乾くかを判断し、そのタイミング(イネ刈りの1〜2週間前)に水を抜きます

水を抜く際は、田んぼに溝を掘ったり、畦を切ったりして、水ができるだけ速やかに抜けるようにします。

イネ刈り(9月下旬〜10月初旬)

穂の葉柄が全て黄色になった頃(9月下旬〜10月初旬)がイネ刈りの適期です(この時期でも止め葉は緑のまま)。
イネ刈りが遅いほど収量が増えるので、周囲より2週間は遅らせた方が良いようです。
イネ刈りが遅いのは、ハザ掛けしているのと同じなので、遅くなりすぎても特に気にすることはないとのことです。

イネを手刈りし、ハザ掛けします。ハザはイネが均等に乾くよう、南北に向けて設置します。
イネが乾くまでには早くても1週間かかります。

含水率が15%以下になったら、ハーベスターや足踏み脱穀機で脱穀します。
その後、モミ摺りをして玄米にします。

次年度のための土づくり

イネ刈りが終わったらすぐに、緑肥(レンゲ)のタネを500m2につき2kg撒き、軽く土を被せます。
その上に、土が乾かないように、稲ワラをほぐして被せます。
500m2あたり60kgの米ヌカを、2〜3回に分けて、稲ワラをひっくり返しながら撒きます。