兵庫県川西市にある環境啓発施設「ゆめほたる」にて、2021年7月24日に開催された「獣害対策セミナー」に参加してきました。
今回は、知り合いの方の「田んぼ」にて実地研修が行われました。
(元々は、私たちが野菜づくりをしている畑が実地研修場所になる予定だったのですが、あまりに収穫が少ないためか、これまで獣の被害に遭っておらず、それもあって場所が変更になったようです。)
ここでは、現地で教えていただいた具体的な防護柵の設置方法について、簡単にまとめておきます。
獣害を防ぐ方法
獣害を防ぐ方法にはいろいろありますが、
- 捕獲:加害個体を獲らないと意味がなく、被害を完全になくすのは困難
- 忌避剤、爆音機など:慣れてしまうため、短期的な効果しかない。
- 追払い:大変
と、いずれもなかなか難しく、そんな中で「防護柵」はきちんと運用すれば非常に効果もあり実用的とのことです。
また、防護柵で作物を保護する際に必要なポイントは以下のとおりです。
- 適切な構造の柵を選択する
- 適切に設置する
- 適切に維持管理する
- 本気で取り組むこと
防護柵設計における条件
防護柵設計時に考える条件は以下のとおりです。
- 加害種と被害程度を予想する
- 防護が必要な期間と見回り頻度を予測する
- 総延長と予算から基本構造を決める
- 全周を歩いて、適切な構造と必要延長を決める
- 費用を計算し、予算超過していたら再検討する
今回はこの後、実際に被害の多い「イノシシ」+「シカ」用の防護柵について検討を進めました。
イノシシ・シカ対策の基本
イノシシ対策は「ワイヤーメッシュ(線径5mm、15cm目)を高さ1mまで設置」が基本になります。
また、シカ対策は「ネット(5cm目以下)を最低高で1.8m以上設置、かつ下部1mは強度を強くする」になります。
イノシシとシカの両方について対策しようとすると、これらを組み合わせ、「高さ1.8m以上、うち下部1mはワイヤーメッシュ(線径5mm、15cm目)、上部はネット(5cm目以下)」となります。
イノシシ・シカ対策防護柵の構造
ワイヤーメッシュを設置する際には、メッシュ間に隙間が開かないように、メッシュ1ますぐらいを重ねて設置する必要があります。
そのため、設置する総延長の1割増で資材を準備しておく必要があるそうです。
イノシシ・シカ対策防護柵の基本構造は以下のようになります。
ネットについては、10cm目では1箇所を噛み切られただけで侵入されてしまうので、5cm目以下にする必要があります。
アニマルパワーフェンスという製品が便利で使いやすいそうです。
地面に隙間があると、そこを取っ掛かりにして柵をめくり上げたり、地面を掘ったりして侵入してきます。
その場合は、ワイヤーメッシュを半分の幅(50cm)に切り、それを本体のワイヤーメッシュに対してナナメに設置します。
これにより、本体のメッシュに近づきにくくなり、侵入防止の効果があります。
河川からの侵入防止対策
河川からの侵入については、段差の高さによって対策が異なります。
段差が1m以下の場合は、「イノシシ・シカ対策防護柵の基本構造」に加えて「飛び乗り防止でワイヤーメッシュをナナメに設置」する必要があります。
しかし、段差が1m以上になると、「シカ対策のネット」+「飛び乗り防止でワイヤーメッシュのナナメ設置」のみで良くなります。
特筆すべきは段差が1.5m以上の場合で、この場合はワイヤーメッシュを軒のように段差からはみ出すように敷くだけで良いそうです(もちろん固定するための重しやアンカーは必要です)。