「自然農」に取り組んでおられる知り合いの方から畑の一画をお借りして、野菜栽培体験を楽しんでいます。
こちらの書籍で、「自然農(正確には自然菜園)」について勉強しています。
自然耕
「自然農」では、基本的に人は土を耕しません。
自然農の畑には、草や野菜の根が張り巡らされており、それが枯れることで、土がスポンジ状の「根穴構造」になります。
また、土壌微生物やミミズの力で、根の周りに土の粒ができます。これを「団粒構造」と言いますが、これにより水はけが良くなります。
人が土を耕してしまうと、土は一時的に柔らかくなりますが、根穴構造や団粒構造が壊されてしまい、雨が降るとすぐに固くなってしまいます。
自然農では、草の根は抜かず、刈り取って、野菜の株元に敷きます。これを「草マルチ」と言います。
「草マルチ」によって土壌微生物を増やし、微生物と根の力で「根穴構造」、「団粒構造」をつくるのが、基本的な考え方です(育土)。
よって、自然農では、畝は一度つくったら壊さず、それをずっと使い続けることになります。
草マルチ
草を刈り取って、畝に敷いていくことを「草マルチ」といいます。
自然農では、土壌微生物と根の力で土をつくりますが、そのような環境で、野菜が草に負けないようにするためには、草の勢いを弱めてやる必要があり、そのために草マルチを行います。
草マルチには、草の勢いを抑える効果の他にも、土の保温、保湿、流失対策、土壌微生物を育てる、病気や害虫の発生を防ぐ、などの効果があります。
畑のエリアごとに異なる処理を行います。
- 根本根圏(苗の周囲):草の根を切り、草のタネが含まれる表土を取り除き、ずっと草が生えないようにします。草マルチをします。
- 自立根圏(野菜の葉先までの範囲):草を根元から刈ります。草マルチをします。
- 共存根圏(自立根圏の外側):野菜より大きくならないよう、5〜10cmの高さで刈ります。このエリアには草マルチをしません。
野菜を植えてから1〜2ヶ月は、草が野菜より大きくならないように、週1回のペースで自立根圏の外側10cmまでを除草し、草マルチを増やします。
1〜2ヶ月たち、野菜が草より大きくなると、自立根圏に草が生えなくなります。
梅雨時期は草の成長がはやく、梅雨明け時期は高温や乾燥を事前に防ぐ必要がありますので、この時期は特に草マルチを徹底します。
秋は虫による食害にあいやすいので、株元を若干空けておきます。
冬草を刈り過ぎると、次のシーズンの夏草の成長が早くなってしまうので、冬草は刈る必要がありません。
なお、トマト、ナス、ピーマン、オクラ、スイカ、メロンは、高温が好きなので、植えてから1ヶ月は根本根圏に草マルチをしない方が良いようです。
対して、キュウリ、カボチャは最初から根本根圏に草マルチします。
緑肥作物
「草マルチ」が自然農のポイントですが、畑によっては草マルチ用の草が足りない場合があります。
このような場合には、通路に草マルチ用の草(緑肥作物)を育てます。
秋または早春に、イネ科(ライムギ、エンバク、オーチャードグラス、イタリアンライグラス)とマメ科(クリムソンクローバー、赤クローバー)のタネを混ぜて通路に撒きます。
30cm程度になるまでは踏まないように注意し、以降は10cmほどの高さで刈るようにすると、2年目からはタネを撒かなくても生えてきます。
緑肥作物は、夏場の草を抑えてくれる効果がある他、育土にも有効です。